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「卵子はどうやって卵管に入るの?」 その不思議な仕組みとは

卵巣から排卵された卵子が、どのように卵管に入るのかをご存じでしょうか? このメカニズムは、まだ完全には解明されておらず、まさに人体の神秘のひとつです。卵巣と卵管は、実は直接つながっていません。少し離れた位置にあるため、卵子は自動的に卵管へ飛び込むわけではないのです。そこで活躍するのが、卵管の先端にある「卵管采(らんかんさい)」という部分です。イソギンチャクのような形をしたこの組織が、排卵された卵子を迎えに行き、優しく取り込むことで、卵子は卵管内へと運ばれます。(図1・2)
この動きは、キャッチボールに例えると分かりやすいでしょう。まだキャッチが苦手な子どもが、大人とキャッチボールをする様子を想像してください。風が吹いたり、ボールが少しそれたりすると、うまくキャッチできないこともありますよね。卵子も同じで排卵のたびに必ず成功するわけではなく、約50%の確率でしか卵管に到達しないという説もあります。(図3)
さらに、卵管采の周囲に病気による「癒着(ゆちゃく)」があると、このキャッチの成功率が大きく下がります。癒着とは、組織同士がくっついてしまう状態のことで、卵管采の動きを妨げてしまいます。これを「卵子のピックアップ障害」といい、不妊の大きな原因のひとつとなります。(図4)

癒着の原因としてはクラミジア感染症、子宮内膜症、過去の腹部手術などが挙げられます。
卵管に癒着があるかどうかは、通常の検査(子宮卵管造影やMRI)では分かりません。正確に調べるには、腹腔鏡(ふくくうきょう)という手術で直接お腹の中を見る必要があります。
 
妊娠のブラックボックスをクリアにする方法

不妊治療において、タイミング療法では 排卵日を予測し、その日に夫婦生活を持つ ことが可能です。しかし、卵子が 本当に卵管に取り込まれたのか(ピックアップ障害がないか) を確認することはできません。更に卵子や受精卵は超音波では見えないため、卵子が卵管に取り込まれたとしても、精子と出会い、受精が成立したかどうかを直接確認することはできません。これはタイミング療法の大きな課題の一つです。

この 見えない部分を解決できるのが体外受精(IVF)の大きな利点 です。体外受精では、卵子を確実に精子と受精させ、その受精卵を直接子宮に戻す ことができます。つまり、タイミング療法では把握できないブラックボックスをクリアにすることで、妊娠の可能性を高めることができるのです。

 
 
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