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原因不明不妊ってどういう意味?

原因不明不妊ってどういう意味?

不妊クリニックを受診すると、不妊症の原因を調べるために、まず最初にスクリーニング検査を行います。これは、月経中のホルモンバランスの血液検査、卵管が詰まっていないかの検査、精液検査など、すべての患者さんが受ける基本的な検査です。この段階で特に異常が見つからない場合を「原因不明不妊」と呼びます。
原因不明不妊」という言葉を聞くと、「何も原因がない」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。通常の検査では見つけられなかった原因があるということなんです。不妊の方の約10〜20%がこのグループに入ります。妊娠するまでには卵子と精子が出会い、受精し、着床するという複雑なプロセスがあります。どこかの段階で小さな問題が起きていても、基本的な検査では見つけにくいことがあるのです。次に、通常の検査ではわからないことが多い、このタイプの不妊に潜む可能性のある要素について詳しくご説明します。

1. 卵子のピックアップ障害

卵子のピックアップ障害とは、卵管の先端にある「卵管采」が排卵された卵子をうまく取り込めない状態を指します。
  • 原因: クラミジア感染症による卵管周囲の癒着、卵管の機能低下など。
  • 卵管采が卵子をキャッチする動作がうまくいかず、卵子が卵管に取り込まれない状況です。卵管造影検査では、ピックアップ障害があるか分かりません。

2. 受精卵の卵管内輸送の問題

受精卵が卵管を通り子宮に到達する過程で問題が発生することを指します。
  • 原因: 卵管内環境の異常(炎症や感染)、卵管の蠕動運動(収縮運動)の低下。
  • 受精卵が子宮に向かう途中、「ベルトコンベア」のような動きがスムーズに機能しない状態です。これも卵管造影検査では確認できません。

3. 受精障害

受精障害は、卵子と精子が出会っても、受精が進まない状態です。
  • 原因:卵子を保護する「透明帯」の異常で精子が侵入できない。精子の能力の低下など。
精子と卵子が出会えたのに、仲良く合体できない状態です。これは、精子が卵子の殻を通過できなかったり、結合に必要な反応がうまくいかないなど、さまざまな要因によって起こります。


4. 卵子や受精卵の質の問題

卵子や受精卵の質の低下が原因で、受精卵が正常に発育しないことがあります。
  • 原因:年齢による卵子の老化(染色体異常の増加)・体質的な要因も影響します。
  • 卵子の質が低下すると、受精卵も正常な成長が難しくなります。

5. 着床障害

着床障害は受精卵が子宮内膜のふかふかのベッドにくっつけず、育ち始められない状態です。
  • 原因:慢性子宮内膜炎やポリープ、子宮筋腫が内膜に悪影響を与える。
ふかふかのはずのベッド(子宮内膜)の状態が悪いため、受精卵がうまくベッドにもぐりこめない状態をイメージして下さい。 


本当に原因がない場合も?
不妊期間が短い方の中には、本当に異常がなく、たまたまいい卵に巡り会えていなかっただけの場合もあります。この場合、自然妊娠を目指して少し様子をみることで妊娠に至ることが勿論あります。(逆に、不妊期間が3年を超えると体外受精が必要になることが多いと報告されています。)

ART(生殖補助医療)が解決につながる

体外受精や顕微授精は、上記のような問題の多くを解決することが可能です。
  • 1.卵子のpickup障害や2.卵管内輸送問題は、体外受精で卵子を直接採取し、受精卵を子宮に直接届けることにより解決できます。問題となっている卵管を一気に飛び越えることができます。
  • 3.受精障害については、顕微授精することや卵子活性化処理することで多くが解決できます。
  • 4.卵子や受精卵の質の問題 5.着床障害は体外受精で、即解決することはありません。しかし体外受精することで、問題点がどこにあったかを突き止めることができます。原因が分かればそれぞれの対応策を講じることができるようになります。
 
 
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